果物の魅力凝縮!シンプルゆえの奥深さ

株式会社ギフト日本海高田

ギフト日本海高田は、うちの母が昭和48年にはじめた贈答品の店がはじまりです。その頃「ギフト」という言葉はありませんでした。
私は建設業の技術屋をしていて、60歳までに何かやりたいなと考えて、会社を辞めました。何も決まっていなかったのですが、とりあえず起業だけして、会社を起こしました(笑)。

ちょうど会社を辞めた時、私の友人が梨農家をしていて、手伝いに行っていました。
ふと「二十世紀梨のドライフルーツってないなあ」と思ったんです。そこで、なければ作ろうと考え、その日のうちに機械を注文しました。
当時、ドライフルーツと言えば、外国産で甘みが強くて硬くて、フルーツの素材の味があまりしないものが多かったのです。
私は「やわらかいドライフルーツを作って勝負してみたい」と考えました。今思えば「面白そう!」という思いつきだけでした。(笑)

商工会議所に協力してもらって、商品開発と販売促進を進めました。
その際に、東京のお店の方に気に入ってもらい、まだ商品化できていない時から「送って」と言われて、それからも付き合いが続いています。
二十世紀梨からはじまり、どんどん増やしていきました。倉吉と言えば、フルーツがたくさんあります。それをドライフルーツにしていきました。
あくまでも「セミドライ」「ソフトドライ」で、柔らかくて果物の味が楽しめるものにはこだわっていました。 その当時は同じような商品はあまりなかったのですが、最近は増えていてそろそろやめようかとも考え中です(笑)。
うちは味も当然ですが、色にもこだわっていて手間がかかります。 もちろん、砂糖とか油、添加物を使っていませんので、状態のいいフルーツだけを選んで使っています。
梨農家や友人から分けてもらうなど、信用できるところでなければ使えません。

ドライフルーツは、誰でもできる単純な商品です、ただ乾燥するだけですから。でも、商品には自信とこだわりがあります。
最初の頃は不眠不休で商品開発に取り組みました。乾燥しすぎると固くなってしまい、本当に美味しくないです。
最適な柔らかさと食べた時の食感にたどり着くまで、大変ではありましたが、楽しかったですね。

梨のドライフルーツもいろいろあって、時期だと二十世紀梨が多いのですが、新興梨や新高梨など、品種によっても全然違います。
あとは気が向いた時に、スイカとかキンカンを季節限定で作っています。 これに添加物を入れると同じような味になってしまいますし、歯触りとか全然違います。
その年によってフルーツの収穫量が違うので、仕入れはとても難しいです。梨シリーズで食べ比べセットもやってみたいのですが、安定して供給するのが難しいです。
まずは味を知ってもらおうと、ハーフサイズも作っています。

仕入(=収穫)のタイミングにもこだわっていて、例えば梨の場合、梨の実が熟れかけたものだけを仕入れています。
青果だと、少し早めに収穫して寝かせてから出荷するのが一般的なかたちですが、うちは違います。 あと、乾燥もその果物に応じて、その時の湿度とか乾燥時間を変えています。同じ二十世紀梨を使っても、その日の気温とか湿度で変わってきます。
最初はデータも取っていましたが、やっぱり勘ですね。データでは再現できないです。

当初はいろんな果物をドライフルーツにしたかったのですが、見た目が悪く断念しました。例えばイチジクなんかだと、美味しいのですが見た目がちょっと悪くなります。色が黒くなってしまうんです。絶対売れるという自信はあるのですが、見た目にもこだわりがあるのでやめました。また挑戦してみようと思っています。
イチゴのドライフルーツも、あまり出回らないですが美味しいです。でも、見た目がね(笑)。
熟すと酸化するので「茶色っぽい、くすんだ感じ」になります。見た目と食感と味のバランスがいいところで、乾燥を止めるタイミングが難しいのです。
添加物を入れて、乾燥させてから砂糖漬けにすれば、きれいな色のドライフルーツはできます。 それでも、私は鳥取県産の果物を使って、無添加で作ることにこだわっています

今後、野菜などのラインナップを増やしていきたいという思いはあるのですが、そのためには新しい設備が必要です。
野菜の方が絶対に儲かるという確信はあるのですが、今使っている乾燥機の中に、野菜を入れたくないんです。 根菜などを入れると菌が入ってしまうため、他のドライフルーツなどに影響します。
信頼できる果物・野菜を使って、自信のある製法でお客様の元に届ける。これだけは譲れないです。

ラインナップとしてはミニトマト、西条柿、ミックス(キウイフルーツ・梨・ミニトマトなどの詰め合わせ)があります。
特に西条柿はすぐに売れてしまいます。キンカンも男性から人気があり、よく注文はあるのですが、ここ2年くらいは霜でこのあたりのキンカンが不作です。

地元で売っているところはほとんどないですが、東京で買取してくれる業者に卸しています。 大量に製造できるものでもないですし、加工からパック詰めまで、社内でしています。
地元では年に何回かのイベントで注文があり対応していますが、本当に大変です。(笑)

その年に収穫したものをその年に加工するので、いわば季節商品です。 県中部の地震などトラブルもありましたが、期待に応えてきました。
味も品質も「これだったら大丈夫」という信用を築いてきたおかげで、過去に一度もクレームをいただいたことはないです。

全て手作りですので、作り手の3人が6つの目で見て、品質を確認しています。
1切れずつ封入作業をしていると、ボランティアをやっているように感じる時もあるくらいです。(笑)

最初の取引が東京だったので、商品の成分表記などを厳しく確認されました。今思えば、それが良かったです。
厳しい目にさらされることで、自分の商品にも厳しい目を持つことができるようになりました。

ドライフルーツにも向き不向きがあって、しっかり手をかけて作ったものが一番ではないこともあります。
西条柿の場合だと、出荷用に作付けされたものより、庭に実った柿が今までで一番美味しかったです。
ただ、庭に実った柿は種が多く、1つ1つ包丁で切る必要があるので手間がかかります。

最近の果物は品種改良などで、甘くしてしまう傾向にあります。でも、あれはおかしいなと思うんです。
果物はその酸味も美味しさの一つだと思います。 ドライフルーツを作り始めた頃、近所の子どもたちに試食してもらいました。みんな「美味しい美味しい!」って。
その様子を見て「やってやろう!」と思いました。美味しい美味しいって言う、笑顔が今でも思い浮かびます。 キウイフルーツ食べた男の子は「すっぱーい!」って走り回っていましたが。(笑)
キウイフルーツはこのすっぱさが好まれて、今では根強い人気があり、必ず注文が入ります。

幼稚園や保育園くらいのお子さんのおやつにもオススメです。
添加物も入っていないですし、しっかりとした歯ごたえもあるので、あごの訓練にもいいです。 あとは、スポーツをやっている方へ、指導者がドライフルーツを勧められているそうです。

ドライフルーツは単純なものかもしれませんが、いろんなバリエーションができそうなので、新しい食べ方・楽しみ方も考えてみたいです。

会社名 株式会社ギフト日本海高田


所在地 鳥取県倉吉市中河原355-1


担当者 高田 晃


連絡先 0858-28-1534