染織は、「手織りかたそうもく」からはじめて5年間くらいやっています。現在は「手織り草木染ホウキボシ」という名で活動中です。社名に「学習塾」が入っているのは、染織をはじめる前から現在も並行して塾をやっているためです。「伯州綿草木染め手織りハンカチ」「草木染め手ぬぐい」、いずれの商品も大量生産ではなく全て手作りです。ひとつひとつの仕上がりも違っていて、本当に自分のためだけのものが出来上がります。
特徴は「手作りである」ことが1つ、もう1つは「地域のものを使っている」ことです。地域の素材を使うこともそうですが、柄のデザインは自分がこの地域で印象深いと感じたものを、柄にしています。そういった意味でも鳥取県中部ならではの商品だと思います。
例えば、左側の商品は、椿をモチーフにデザインしています。
ただ、モチーフは何でもよくて、見た時の印象で「好き」だと思ってもらえれば、それでいいんです。これは「とりそらたかく」のために作ったもので、葛を使って染めています。染色するための染色材料は、琴浦町にいると簡単に入手できます。例えば葛の場合、近所の道端で採れたりしますし、桜の木の枝も比較的簡単に集められます。まだ試していないですが、農家で余ってしまったものや建材店でもらえる材料もあるので、染色するための素材集めには困らないですね。また自然素材が近くにあるので、柄の参考になるものがたくさんあります。素材であったり、インスピレーションを起こしてくれるような環境が琴浦町にはあります。
手づくりのぬくもりを感じる、草木染め手ぬぐい(左)と、伯州綿草染め手織りハンカチ(右)
右側の商品は手織りで作ったハンカチで、全部ではないですが伯州綿を使っていて、綿花から糸を紡いで使っています。綿花も親戚に栽培してもらっているので、それを収穫して綿繰り機を使って「種」と「フワフワ」に分けてから紡ぎます。
「自分が欲しい」と思うものを作るように心がけています。自分が欲しい、やっていて楽しいと思う商品だから、制作が続けられていると思います。
「この世にない、でも欲しい!」というものを実現するように、意識しています。素材や大きさなど「こんなのがあったらいいなぁ」とイメージしながら商品化しています。
ハンカチも普通のだと大きすぎるので「ちょっと小ぶりで、タオル生地じゃなくて、吸水性もあるのがいいなあ」と思って作っています。
デザインだけじゃなくて、形とか使い勝手に関しても、欲しいと思えるものにこだわっています。
全部手作業なのでうまくいかないことも多く、試行錯誤の連続です。
例えば、一気に5メートルくらい染めることもあるのですが、設備的に広いところがないので、工夫も必要です。
全体に糊を置いて乾くまで待って、その布を染めていきます。それもムラにならないよう、ずっと動かしたりして濃くなりすぎないようにします。
葛は葉の部分と茎の部分を使っていて、普通の草木染めの場合は1回煮出せばだいたい染まりますが、最初は茶色に近い黄緑のような色が出るので、葛を煮た液を4回くらいは捨ててしまいます。
葛は淡い緑色を出すのが難しく、5回目くらいから緑色が澄んでくるので、煮る回数は合計7~8回くらいになります。
原料調達から製造まで、すべて手作り。丁寧な作業が必要です。
昔の人は緑色に染めるために、「藍色」と「黄色」を合わせていました。まず青く染めておいてから黄色に染める、色を合わせることで緑色を作っていました。しかし藍は冷たい状態で何度もやる必要があるのですが、そのやり方だと糊が溶けてしまい、白くしたいところも染まってしまいます。熱を加えないと固まらない糊を使っていますので、一発で緑に染めたいと思っていろいろ調べた結果、葛にたどり着きました。
この町で手に入れやすい素材だったので「その辺にたくさんあるから最高!」って思いましたね。普通の草木染めより時間がかかりますが、いい色がでているので苦労の甲斐もあります。
「草木染め」や「手織り」がたくさんの人に手に取ってもらい、しかも使ってもらいたいです。飾ってもらうとかではなく、使ってもらいたいです。やはり道具は使ってこそ、その良さがわかってもらえると思います。
草木染めは使っていると、どうしても日光に当たって色が変色、退色して色あせていきます。そのため取り扱いが難しいと感じられがちで「飾っておこう」「あまり使わないようにしよう」となってしまいます。
せっかく出た色なので、その時その時に変わっていく色を味わうというか、楽しんでもらうような感覚で使ってもらえると嬉しいです。
「飾るのではなく、ぜひ使ってくださいね」と山崎さん
会社名 手織り草木染ホウキボシ(合同会社 体と脳の統合 わかな学習塾)
所在地 鳥取県東伯郡琴浦町槻下+977-1
担当者 代表 山崎 流水香
連絡先 0858-53-2018
とっとり中部発信プロジェクト
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