地域ブランド創造企業を目指して！
株式会社アグリネット琴浦
異業種への進出で“農業”へ
最初は「アグリ琴浦」という、農業生産法人としてスタートしました。行政合併で、「琴浦町」になってすぐくらいの頃です。「琴浦」を使いたい、また異業種からアグリ事業に参入するので、簡単で馴染んでもらいたいと考え、「琴浦」と「アグリ」を使うことになりました。もともとは建設業なんですが、公共工事の量がピーク時の半分になりました。
平成１５年頃には、県から異業種参入の推奨があって、多くの会社が異業種への参入をしていきました。 健康産業や福祉産業、環境事業なんかもありましたね。その中で、弊社は「農業をしたい」という思いのある役員が数名おり、農業に参入しようということになりました。
当時は農業生産法人というのが少なかった。有限会社の構成員の過半数が、農業専従者でなければならないので難しかったです。例えば５人いたら３、４人かな、農業を主にやっている人がいないとダメでした。「農業をしない人が農地を持つことは許さない」という国の方針でした。
うちは農業生産法人だったんですが、農地法が変わるなど環境の変化もあり、親会社の馬野建設㈱でも農地を借りることが可能となったため、いったん会社を無くしました。清算して、馬野建設で農業生産を引き継いでスタートすしましたが、今度は販売する時に、販売者の名称が「馬野建設」では、農産品とか加工品のイメージに合いませんでした。そこで、これからはアグリの商品とそれまで一緒にやってきたネットワークを活かして、県内の農産品、農産品に限らず特産品を扱っていこうと考えました。
「生ものも扱うし加工品も扱う」ということで、そのネットワークをひっつけて「アグリネット琴浦」になりました。最初の社名であった“アグリ琴浦”を連想しやすく、アグリ琴浦で１０年近くやっていたので、そのネームバリューも活かした方がいいと考えました。アグリネット琴浦としては、５年くらいになります。
試行錯誤の末に誕生した、梨の丸ごとジュース
アグリネット琴浦としては、ブルーベリーを主体とした商品の企画・販売をしています。また、県内特産品の加工品については、原材料となる食材を調達して、企画・委託生産し、それを販売しています。とりそらたかくブランドの商品としては「二十世紀梨ジュース」「ブルーベリーティー」「ブルーベリージャム」を販売しています。
ブルーベリーが一番事業の幅が広いですが、以前はブルーベリー以外にも色々と生産・販売していました。
イチゴやアスパラ、自然薯にスイートコーンまで。基本的に「自分たちが食べたい」と思うものをみんなでやっていたんです。テレビを観ていて「あれ東京しか売ってない」と聞くと、種苗メーカーを探して種を取り寄せて、栽培していました。東京にしかないものでも、ここで作れば食べられるだろうと即行動していました。地域の皆様にも喜んでいただいていました。動かなければ「手に入らない」ままです。加工メーカーとの出会いの中で、様々な加工品を作って試したりしました。
「自分たちが作ってみたい」と思う食材に、がむしゃらに挑戦していきました。
「二十世紀梨ジュース」と、その仲間たち （ブルーベリージャム・ティー・ジュース、自然薯焼酎）
梨のジュースって加工が難しんです。梨は香りが少ないので、梨の香りや旨味を伝えるためになるべくパルプ質を入れました。原料に近いものを入れれば、当然梨の味や香りに近づきます。
最初は梨のジュースにパルプ質があるとだめだと言われました。では「全部澱を取りましょう」ということで、まったくパルプ質の無い透明なジュースを作りました。ところが、ひとつも売れませんでした。お客さんは、本物らしいと思って、濁っている方を買うんです。どうして売れないのかなって思ったら、透明にすることで味も匂いも全部取ってしまうんです。
西日本の「瑞風」で車内販売されていて、コンスタントに受注もあります。
また、年に開催された「４７都道府県のご当地のかき氷フェア」に、鳥取県「二十世紀梨かき氷」に使ってもらいました。サンプルで気に入っていただき、まとめて買っていただきました。
とにもかくにも、原料への“こだわり”
私たちの商品は、自分たちに加工技術があるわけじゃないので「いい原料を調達する」ことを心掛けています。
私たちが「美味しい」と思うもの以外、絶対に原料にしません。やはり最初に農業生産法人でスタートしているので、素材にはこだわっています。美味しいものを使いたい、素材を惜しまずたっぷり使いたい。結果として、価格は高くなってしまうけど、妥協はしたくありません。最近は共感してもらえるお客さんも、見えてきた手応えを感じています。自分で食べるものは「高い」ので敬遠しがちですが、贈り物などでの反応は上々です。買うとちょっと惜しいけど「貰えるならうれしい」そんな感じです。
