しいたけの王子が、北栄町を活性化!

株式会社エナテクスサービス

 太陽光発電事業に取り組んできたエナテクスサービスが、発電パネル下の空間を利用して原木しいたけ栽培に参入。
「サンシェードプリンス」のブランド名で、王子様のように大切に育てています。
食べやすく美味しいと口コミでファンも広がり、しいたけ、栽培地ともに北栄町の新たな魅力に加わりたいとスタッフ一同励んでいます。

クリーンエネルギーで成長するSDGs企業

 株式会社エナテクスサービスは、倉吉市に本社を置くエナテクスグループのひとつです。本社である株式会社エナテクスは1989年に電気設備工事会社として創業しました。環境保全に高い意識を持ち、鳥取大学と共同で風力発電などに取り組んできました。2000年代初頭から太陽光発電に着手し、いま大きな事業の柱に成長しています。

 グループ会社には、メガソーラー発電を行う「エナテクスソーラー」、小規模ソーラー発電を行う「エナテクスミライ」と「谷本鉄工所」、メガソーラーと農業を組み合わせた「エナテクスファーム」と、弊社「エナテクスサービス」があります。私たちはグループ全体の業務支援的、設計や営業などの人的フォローを担っています。

 6年ほど前から、弊社が運営する北栄町西高尾の「北栄高千穂太陽光発電所・エナテクスソーラー」で原木しいたけの栽培・販売を始めました。現在7500本の原木で、年間800kgの出荷を目標にしています。
 太陽光発電というクリーンエネルギーに長年取り組んできたので、農と食においてもSDGsに貢献できると非常に意義を感じています。役割を終えた原木はカブトムシやクワガタの産卵木やバイオマス発電の木質燃料として再利用されています。

太陽光パネルの下で「菌興115号」がスクスク

 地面に敷き詰められた太陽光パネルの下の空間と、管理業務が閑散期となる秋・冬期間の有効活用を考え、しいたけ栽培を思いつきました。しいたけは日陰で育ち、冬に旬を迎えます。私たちの条件に適っていますし、鳥取県は、きのこ王国でもあります。

 私たちが栽培しているのは、鳥取市にある一般財団法人日本きのこセンターが開発した菌興115号という品種です。原木100本で試験的に栽培したら上手く育ったので、会社に事業化を提案。「鳥取県の活性化に繋がるし、地元の特産品を使って面白い取り組みをしてみたらどうだ」と社長の賛同を得て、本格的に取り組みました。
 折しも、県を挙げて菌興115号の再ブランド化に力を入れ始めたころでした。「私たちに、しいたけの風が吹いている」と感じました。

 ただ、秋・冬の仕事として始めたにもかかわらず、夏も世話が必要でした。太陽光パネルが雨をさえぎり原木に雨水が届きません。そのため散水が必要です。また、原木をひっくり返したり、叩いて刺激を与えてみたりと、年中何らかの作業があります。しいたけが生え出したら、スタッフ総出で袋をかけるのに大忙しです。
 栽培場所は事務所の隣ですから、そういう風に細やかに管理できるのは大きな利点といえます。屋根(太陽光パネル)があるので散水の量も調節できますし、絶えず見守って採りごろ逃さずに収穫できます。

美味しくて食べやすい「サンシェードプリンス」

 そうした甲斐甲斐しい世話、少し過保護な生い立ちにピッタリのブランド名が誕生しました。「サンシェードプリンス」です。  名称を全国公募し、約400通の中から選びました。太陽光パネルの下で、手塩にかけて大切に育てた王子様、というイメージです。

 菌興115号は、非常に大きく、肉厚になるのが特徴です。大きなものは大人の両手ほどに育ちます。肉質がぐっと締まっていて食感が良く、「山のアワビ」とも称されます。  サンシェード・プリンスは高級路線で打ち出しているので決して安価ではありませんが、一度食べるとリピーターになってくださる方が多く、口コミでファンが広がっています。

 肉厚でジューシーなので、焼いても、鍋やすき焼きでも美味しい。レシピ動画も募集し、多くの応募をいただきました。
 なかでも私が好きなのは、「何でものっけしいたけ焼き」。軸をとったサンシェード・プリンスの裏面に、ツナマヨやキムチ、ミートソースなど好きな具材を載せて、魚グリルで弱火で3分焼いてできあがり。簡単で、おつまみにも最適です。さまざまな味との組み合わせを楽しめる、しいたけの可能性を広げる料理だと思います。

 原木しいたけならではの高い香りも自慢です。一方、過保護に育てるためか臭みと思われがちな要素が柔らかなようで、しいたけが苦手な子どもが「これは臭くない」と食べてくれたと、何度か耳にしました。
 大人の方からも「初めてしいたけが食べられた」とか、「子どものとき苦手になったけどこれは美味しくて驚いた」などの感想をいただきました。売って感謝をされるなんて、本当にありがたい仕事です。

 当初は生しいたけのみで販売していましたが、乾しいたけも作り始めました。
 乾しいたけはより香りが豊かになります。水で戻す際に部屋中に香りが広がるほどです。その戻し水も出汁に利用できますし、栄養価も生しいたけより高いんですよ。こちらもファンが増えています。
 日保ちする乾しいたけは年間を通して、生しいたけは期間限定の旬の味覚として、どちらもお楽しみいただけたらうれしいですね。

北栄町の特産品、名所になりたい

 サンシェードプリンスはこの事務所で直売するほか、ECサイトで多くご購入いただいています。北栄町のふるさと納税返礼品にも選ばれ、地元の飲食店でも料理で提供いただいています。

 今後に向けて考えるのは、この原木しいたけでどのように地域に貢献できるか、ということ。
 サンシェードプリンスのラベルには「とっとり北栄町産」と必ず入れます。北栄町の多くの特産物、名産品に仲間入りして、北栄町を発信していきたいのです。

 現在この栽培地を観光ツアーのルートに入れていただくよう働きかけています。原木しいたけの生産現場を見る機会はなかなかないようで、これまで見学にお越しくださった方々も非常に興味深く話を聞いてくださり、観光資源としての手応えを感じています。
 マスコット犬の「ゲン」くん(ニューファンドランド)にも会いに来てください!
 夜は真っ暗になって星空がとてもきれいなんですよ。夏休みの星空観察もできそうな気がします。

 そのほかにも原木オーナー制度やしいたけ狩りなどを思案しているところです。地域で、また観光において、太陽光発電にも原木しいたけにもさまざまに親しんでいただきたい。このしいたけをきっかけに地域を巻き込んで、北栄町の活性化を目指したいと思います。

会社名 株式会社エナテクスサービス


所在地 鳥取県東伯郡北栄町田井651-1


担当者 しいたけプロジェクトマネージャー 有福泰視


連絡先 0858-37-6030