豊かな自然で育まれた鳥取のジビエ!

鳥取いのしし屋

ジビエの販売を始めたのは最近で、2016年の春くらいからです。ジビエそのものに関わるようになったのは、知人から「猪肉の普及活動の手伝いをしてほしい」と頼まれたのがきっかけです。そこでボランティアとして、食のイベントなどに出展する際の手伝いを頼まれ、引き受けました。

その活動をしばらくしていたのですが、ボランティアなので活動費を自費で捻出していました。それが長く続くとさすがにきついと感じ始め「肉の仕入れはできるから、それを売ればいいんじゃないか」と、簡単な発想からこの活動を始めました。

取り扱っている猪肉は、地元鳥取に拘りすべて鳥取県産のものです。地元倉吉で仕入れています。県内産にもこだわっているのですが、県中部には仕入先が1つしかないんです。中部に肉がない時は、県東部と県西部からも仕入れていますが、県内産は譲れません。
「鳥取」いのしし屋と名乗っていますし。(笑)

実は鳥取の猪肉は非常に価値が高いものなんです。猪肉が郷土料理として有名な丹波篠山では、猪料理を目当てに多くのお客さんが来られています。そこに全国から猪肉が集まるんですけど、鳥取の猪肉は品質がよく高い値段で取引されています。

一説によると、鳥取の山は良質の餌が豊富で、そういったものを食べている猪は肉質もよくなるそうです。鳥取には有名な大山地鶏がありますが、東京では偽物がでるくらいすごく有名です。そのくらいのブランドイメージが鳥取の猪にはあります。

実は鳥取県の中西部は猪が多いのですが、県東部に行くと猪が少なくて鹿の方が多いんです。鳥取は山も近く、ジビエを名産にする環境が整っていると感じます。

6年くらい前、ボランティアを始めた時でした。お付き合いのある猟師さんや解体処理業者の方にいろいろとお話しを聞きました。
猪肉にも当然いろんな部位があるのですが、希少で脂ののりもよいロース肉やバラ肉はけっこうすぐに売れるらしいんです。ぼたん鍋ってありますよね、白い脂身と赤身がきれいに分かれている。そういった見た目が好まれている部位はよく売れます。
ところがウデやモモなどといった部分は売れ残ってしまい、廃棄処分している現実も聞きました。もったいない思い試食させてもらったのですが、これがすごく美味しいんです。ただ脂身が若干少なめの部分なので、少し固かったり、見た目で人によっては敬遠されるかもしれません。これを加工品にして提供すれば食べやすいのかな、と思ったのが商品開発のきっかけでした。

猪というかジビエは、どうしても冬のイメージが強く、冬季の需要が高くなります。そこで地域の資産である猪肉を、通年して提供していきたいと考えました。
加工品開発に取り組んだのもそういった経緯があります。また「猪肉って、どうやって食べたらいいのかわからない」という声も聞きます。手に取りやすく、親やすい食材として感じてほしい思いもあり、調理済みのものを提供したいと考えました。

缶詰は「開けてすぐ食べられる」、たれ漬けの方も「開封して焼くだけ」ですので、お客様のどうしたらいいかなという不安を解消したという商品です。
たれ漬けの商品は、たれをゼロから作っています。猪肉に合うように、何回も作り直していただきました。猪肉のきれいな赤身にあう、たれの色にしています。また、たれの中には二十世紀梨が入っていて、鳥取産の猪と二十世紀梨で鳥取を前面に押し出しています。

実は猪肉の状態が良い個体であれば、あまり臭わないんです。試食会や食のイベントに出店した際に、無料で提供しているのですが「猪なんか無料でも食べない」という方もおられます。
聞くと「近所の猟師さん分けていただいた」など、処理がしっかりできておらず、血がまわって臭みがある肉を食べたことで猪肉が苦手だと言われます。

試しに、と試食していただくと「美味しい、臭わない」と言っていただけます。
試食で提供しているのは、猟友会の方から提供していただいた猪肉なのですが、きちんとした個体をしっかり処理をすれば臭くはならないんです。

 

「シシ肉コンフィ」を作るにあたって、いろいろ調べてみたのですが、和風のものが多かったんです。
味噌煮や大和煮など、猪肉が味噌や醤油などの味付けに合うというのもあるのですが、そもそも洋風に調理された猪肉の缶詰はありませんでした。そこで、猪肉で洋風料理ができれば、おもしろいかなと思ったのです。全国的にも珍しく、鳥取では見たことがありません。

今は新しい展開として、アヒージョも作っています。コンフィはウデ肉・モモ肉を食材として使っていますが、アヒージョは希少な猪の、さらに希少な心臓を使ったハツ(猪の心臓)で作っています。一頭から少ししか取れない貴重な部位です。
食感もプリプリしていて美味しいです。そんな感じで少しずつ商品のラインナップを増やしていきたいと考えています。

正直、利益的な事を考えれば違うアイテムの方が良いと思います。では、なぜ猪肉を選んだのかというと「誰もやっていない」「貴重な猪肉を地元で循環させたい」、この2点でした。

現状は「猪を捕る人はいる、味も品質もいい、しかし売れてない。」という状況です。これが売れるようになるとサイクルが回りだします。
すると、山を荒らす猪や鹿をとる猟師さんも、一生懸命になって捕ると思いますし、解体処理業者の人も潤います。この流れが結果更に良質の肉を提供することになれば、お客様にも喜んで頂け、ジビエの普及促進にも繋がると考えています。

私としては未知の分野ですが「お手伝いできれば」と思っています。やっぱり、鳥取の猪が丹波篠山に流通してしまうのはもったいない、地元で使ってもらいたいです。

夢かもしれませんが、地元のグルメ化が進み鳥取県に行けば美味しい猪肉が食べられる、と観光誘客にも繋がればと思っています。
そこにはたくさんのハードルがありますが、一つずつ越えていきたいと思っています。


会社名 鳥取いのしし屋


所在地 鳥取県倉吉市丸山町629-12


担当者 橋谷 孝志


連絡先 090-1352-6905